客間の明かり   桐生倶楽部拝見 「5号室」

窓の向こうは異国の風景

 

 

 凝った内装の4号室と6号室にまれたシンプルな5号室。両隣の部屋に通じる扉があるから、″控えの間″として使われてきたのだろうか。
 段違いの窓のカーテンを開けると、別館の赤瓦の屋根が現れる。住み慣れた街にいるはずが、どこか知らない異国の土地、あるいは過去にタイムスリップしたような気分にさせられる。
 講談社の野間清治の紹介で、米国のコンクールで入賞経験を持つ清水巌が担当した建物。
  1919年に完成した当時、この一帯はいまより見晴らしがよく、桐生駅から本町通りに向かうと、この洋館が自然と目に入ってきたという。
  「外から客人を迎えたとき、桐生にはこんなすこい建物があるんだと、誇らしく思ったものだよ」。倶楽部会員の一人、バイオリニストの笠木茂さん(故人)がうれしそうに話してくれたのを思い出す。(野)

【データ】桐生倶楽部=桐生市仲町二丁目9の36、電45-2755、社員外でも社員の紹介か、理事者の承認があれば有料で利用可能 5号室=定員7人。半日1600円、午前9時から午後5時まで2300円、午後5時から9時まで1800円(冷暖房費、厨房〈ちゅうぼう〉使用料など別途要)


「桐生倶楽部写生両」牧島要一画

 30年ほど前、参考にするようにと、牧島要一氏から保倉一郎さん=西久方町=がもらった写生画。
  「このような下絵の写生を数点は試みて、それから本制作にかかるのが普通だった」と保倉さん。同館の裏から見た風景画〈1936年作〉の下絵の一つと推定される。
 牧島氏から修復方法も学んでいた保倉さんが汚れなど取り除き、2008年に同館に寄 贈した。

 

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