客間の明かり   桐生倶楽部拝見 

 

 大正モダニズムの薫りを伝える洋館、桐生倶楽部(桐生市仲町)。
  その建物に足を踏み入れると、各部屋を格調高い調度品とともに、多彩な絵画が彩っていることに気づく。
  その数18点。桐生の政治、経済、文化の胎動を感じ取ってきた″桐生の茶の問″であり、外からの客人を迎える″桐生の客間″であった会館。名士たちの会話が染み込んだ各部屋を、展示作品とともにシリーズで紹介する。
  【データ】桐生倶楽部=桐生市仲町二丁目9の 36、電45-2755、見学は無料だが、一般の利用 は有料で、かつ社員の紹介か理事会の承認が必要

平面図pdf

 織都とともに
 1900年に結成された産業人の社交機関「桐生懇話会」を発展させ、18年に発足した「社団法人桐生倶楽部」。会館はその翌年、企業家の社交場として設けられた。
 赤瓦の屋根、上げ下げ窓、小さな切り妻の屋根をのせた4本の煙突、列柱の玄関ポーチなど、スパニッシュ・コロニアル様式が随所に見られる建物。
  織物で栄えたモダンな桐生 を代表する建築物として、96年11月15目、文化財登録制度による第1号の適用を受けている。
 現在も活動は続き、社員は個人240人、法人14団体(2月現在)。観桜会や文化祭などの行事がここで催され、親睦(しんぼく)を深め、知識を高めている。
 


「桐生倶楽部風景」牧島要一画
 東京美術学校の黄金時代、岡田三郎助に学び、洋画の近代性を桐生に伝えた牧島要一の1936年の作品。ほかに同じ方向からもっと近づいて描かれた作品や正門から見た絵もあり、桐生倶楽部の建物はかなり気に入った対象であったと思われる。柔らかい光あふれる情景は、改修により面ざしを変える前の建物の雰囲気をいまに伝えてくれる。

h21.3.18桐生タイムス記事pdf