『高校生が描く桐生倶楽部会館100歳の姿展 ~自由テーマ画とともに~』

2020年7月

第1部 高校生が描く桐生倶楽部会館100歳の姿展
第2部 自由テーマ画展

主催・企画・編集:一般社団法人 桐生倶楽部
制作:桐生高等学校美術部、桐生女子高等学校芸術部美術班の皆さん
指導:顧問 原澤和彦先生

桐生倶楽部会報特別号を見る

桐生タイムス 上毛新聞 報道記事を見る

 

 

Web版絵画展開催によせて

桐生倶楽部 理事長 森 壽作

 桐生倶楽部会館が昨年の12月に創建100年を迎えました。この記念すべき時に、桐高・桐女の美術部の生徒さんが桐生倶楽部会館をテーマに絵画作品の作成に取り組んで頂くことになりました。6月には、その成果の絵画作品を一般市民に展覧会として公開するという桐生倶楽部の企画が、美術部顧問の原澤和彦先生、又、桐生高等学校、桐生女子高等学校両校のご了解のもとに実現することになりました。その絵画合同展を大変楽しみにしていましたが、今回の予想外の新型コロナウィルス感染拡大発生により、合同展が開催出来なくなってしまいました。本当に残念でした。しかし、その後web上での展覧会が可能ということになり、ほっとしたところです。本来の合同展は別途、年度内に実現できるよう準備して行ければと思っています。何卒、宜しくお願いします。尚、本企画は村田勝俊理事が担当しましたことを報告します。
 昔話になりますが、桐生倶楽部会館創建当時の100年前の大正8年(1919年)は前の年から、今年の新型コロナウィルスのように、「スペイン風邪」が猛威を振るっていたことを改めて、知りました。日本でも大きな影響がありましたが、当時は電子顕微鏡もなく、ウィルスのことはまだ知られていませんでしたが、今と同じような対策が取られました。人ごみに出ない、マスク着用する、手を消毒する、うがいの励行、身体弱者はとりわけ注意することなどが指導されていました。こんな大変な体験をしていたのにすっかり忘れてしまっていたのは私だけでしょうか。昔の私たちの先輩たちがそんな大変な時に桐生倶楽部会館を創建した偉業に、唯々、敬意を表するばかりです。

 

 

桐高美術部・桐女美術部のweb展覧会について

桐高・桐女美術部顧問 原澤和彦

昨年末に、桐生倶楽部理事長の森様と理事の村田様より、同倶楽部会館創建百年を記念した、桐高美術部と桐女美術部による倶楽部会館での展覧会のお話をいただき、光栄なこととしてお引き受けさせていただいいた次第です。
具体的には、大正時代に建造されたスパニッシュ様式の桐生倶楽部会館をモチーフにした作品を中心に据えた展覧会というものです。顧問としては、日頃より観察力と表現力や造形力の涵養を指導方針としているため、実際のスケッチを元にタブローを制作するという正攻法の作品づくりするには格好の機会と考えました。描きたい対象を写真に撮り、それをもとに制作するという手法をとるプロも多い昨今ですが、2次元の画像をそのまま2次元の絵画にすることに比べ、3次元のものを実際に観察して2次元に落とし込む作業の方が、遙かに高度で創造的な作業であることは言うまでもありません。そこで、まずは昨年の12月の冬期休業中に同会館で三日間のスケッチ会を実施し、桐生タイムス紙にも取材・報道していただきました。スケッチ会の初日には、会長の森様と理事の村田様より桐生倶楽部と会館の持つ歴史や存在意義についてご丁寧なご説明もいただき、生徒達は目には見えないものを意識しながらスケッチに取りかかることができたのではないかと思っております。
しかし、残念なことに桐生倶楽部様から展覧会に向けて画材購入の予算も付けていただきながら、タブローの制作に入るこれからという時にコロナウィルスにより学校での部活動が3ヶ月以上ストップしてしまいました。顧問としては大変申し訳なく思っております。そんな折、理事の村田様にご相談しましたところ、展示できる作品をもとにweb上での展覧会を開催できないかとのお話をいただき、今回のweb展覧会開催に漕ぎ着けることができました。作品的には、両校の2・3年生のスケッチまたはエスキース等ですが、ご高覧いただきますようよろしくお願い申し上げます。
尚、学校も6月下旬より完全に再開したため、予定していた桐生倶楽部での桐高・桐女美術部による合同展の年度内開催に向け、7月より1年生を加えタブローの制作に入っていきたいと思っております。

 

 

『高校生が描く桐生倶楽部会館100歳の姿展~自由テーマ画とともに~』 
編集後記 

Web展覧会をご鑑賞いただきありがとうございました。コロナ禍の中での対応として2階大広間での開催に代わりWebでの絵画展となりましたが、皆様にご覧いただく機会を設けることができました。それもこれも年末の寒い中にも関わらず、生徒さんたちが各々選んだ場所で静かに真剣に集中して描いたことの賜物です。まずはご指導いただいた原澤和彦先生と桐高美術部と桐女芸術部美術班の生徒さんたちに心から感謝申し上げます。 
桐生倶楽部会館をモチーフにした作品では小屋根を付けた煙突、扉や窓、タイルや玄関、シャンデリアなど桐生倶楽部の個性やスパニッシュ・コロニアル建築の特徴に着目したものもあって建物の記憶を感じさせるとともに、新たな物語を語りだし、新鮮な旋律が聞こえてくるような印象を受けました。 
自由テーマの作品は、はっとさせられたり、笑みがこぼれたりと作者たちの多感さを感じさせる個性豊かな作品群となっています。 
さて、今回の企画は満100歳の会館と高校生“画家”の初めてのマッチングであり、記念すべき誕生月の桐生倶楽部の姿を留めてほしいという点にありました。そして、その作品を社員と一般市民の方にご鑑賞いただくということでした。この目的は、Web展覧会でほぼ実現されたと考えております。今後タブローの制作に取り掛かるとのお話であり、どのような作品に結実するのか楽しみです。リアルな絵画展の実現へ歩み出していただけそうです。 
最後になりましたが、桐高・桐女の両校校長先生、原澤先生と生徒さん、本企画に賛同いただいた森壽作理事長をはじめとする役員の方々、Web展覧会と会報誌特集号の編集をご快諾し実現していただいくことになった会報委員長の坪井良廣さん(副理事長)と同委員の桑原志郎さんに深く感謝を申し上げます。原澤先生をご紹介いただいたのは桐生高校時代の恩師木本富雄先生でした。桐高の同窓会館の部屋で木本先生に本企画を説明しましたら、携帯ですぐに原澤先生を呼んでいただき、あとはとんとん拍子にことが進みました。ありがとうございました。 

(担当理事 村田勝俊 記)

 

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